和歌山の相続登記について(9)在外日本人がいる場合の遺産分割

在外日本人がいる場合の遺産分割について

 相続登記をするため、相続人間で遺産分割協議をする際、相続人の中に海外在住の日本人がいる場合があります。

 相続人は全員、遺産分割協議書に実印を押印し印鑑証明書を付けなければならないのが原則ですが、印鑑証明書は日本国内に住民登録していないと発行されません。

 また、相続人のうち、不動産を取得する相続人については、住所を証明するため住民票または戸籍の附票が必要になりますが、住民票は日本国内に住民登録していないと発行されませんし、戸籍の附票は海外の住所まで記載されていません。

 海外在住の場合、日本国内に住所を登録したまま一時的に海外に行っているのであれば、日本の役所で印鑑証明書や住民票等が発行されるので問題はないのですが、住所を海外に移転する登録をしているのであれば、日本の役所でこれらの書類は発行されません。

 このような場合、印鑑証明書あるいは住民票(戸籍の附票)の代わりに、次のいずれかの書類を取得する必要があります。

Ⅰ.印鑑証明書の代わりになる書類

1.海外住所地の日本領事館に発行してもらう方法

(1)本人の署名あるいは拇印に間違いない旨の証明書を発行してもらう

(2)日本領事館に印鑑登録し、印鑑証明書を発行してもらう

2.海外住所地の外国公証人に発行してもらう方法

(1)本人の署名に間違いない旨の証明書を発行してもらう

 →サイン証明ともいいます。本人の署名はローマ字つづりでも大丈夫です。

(2)自分の署名に関する宣誓(口述)書を発行してもらう

 →外国公証人の面前で自己の署名に間違いないと宣誓をしたとの証明書です。

3.日本国内の公証人に発行してもらう方法

 日本に一時帰国し、日本の公証人に署名あるいは拇印の証明書を発行してもらう

 →日本国内の公証人であればどこでも大丈夫です。

Ⅱ.住民票(戸籍の附票)の代わりになる書類

1.海外住所地の日本領事館に発行してもらう方法

 在留証明書を発行してもらう

2.海外住所地の外国公証人に発行してもらう方法

 住所証明書を発行してもらう

以 上

なかむら法律事務所・司法書士事務所(和歌山市)

弁護士・司法書士 中村和也