和歌山の相続登記について(5)登記上の住所と現住所等が異なる場合

登記上の住所と現住所等が異なる場合

1.相続登記の際、追加で必要となる書類

 不動産の登記簿謄本等を確認すると、所有者の欄には、登記された当時の住所と氏名が記録されています。

 一方、相続登記をする際、必要書類として、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本を添付しますが、戸籍謄本には、氏名と本籍地は書かれていますが、住所は書かれていません。

 この点、法務局は、登記上の所有者と被相続人が同一人物かを確認する必要があるところ、氏名の一致だけでは同一人物であるとは認めてくれず、住所も一致しないと同一人物であるとは認めてくれません。

 登記上の住所と戸籍謄本の本籍地が一致していれば、同一人物であると認められ、問題ありません。

 しかし、登記上の住所と戸籍謄本の本籍地が一致していないことの方が多く、その場合、これらの関連性を証明するために、「戸籍の附票」あるいは「住民票の除票(本籍記載のもの)」という書類を役所で取得します。

 「戸籍の附票」は、被相続人の死亡時の本籍地の役所で取得できます。「住民票の除票(本籍記載のもの)」は、被相続人の死亡時の住所地の役所で取得できます。いずれも郵送でも取得可能です。

 そして、「戸籍の附票」あるいは「住民票の除票(本籍記載のもの)」に記載されている住所が、登記上の住所と一致していれば、同一人物であると認められ、手続きを進めることができます。

2.登記上の住所と現住所等との関連性を「戸籍の附票」等で証明できないとき

 昔に登記されたものであるような場合、「戸籍の附票」あるいは「住民票の除票(本籍記載のもの)」に記載されている住所が、登記上の住所と一致しなかったり、そもそもこれらの書類が役所の保管期限切れ取得できなかったりすることもよくあります。

 このような場合どうすればよいでしょうか。

 以下、和歌山法務局管内の現時点での取り扱いとして述べます。取り扱いが今後変わることもありますので、詳しくは法務局にお問い合わせください。

1.被相続人(亡くなった方)名義の登記済権利証がある場合

 この場合、その「登記済権利証」のコピーを添付すればよいこととなっています。

2.被相続人(亡くなった方)名義の登記済権利証がない場合

  この場合、(1)「固定資産税評価証明書」(ただし、被相続人の氏名と住所が記載されており、登記上の住所と一致していることが必要です)、及び、(2)相続人全員からの被相続人が所有者に相違ない旨の「上申書(印鑑証明書付)」、の両方があればよいこととなっています。

 固定資産課税評価証明書は、不動産所在地の役所の固定資産税課などで取得できます。

 上申書とは、以下のような内容のもので、全相続人の実印押印があるものです。上申書の代わりに、遺産分割協議書の中に記載しても大丈夫です。

「登記記録に表示されている所有者名(被相続人名)の住所と被相続人が居住していた最後の住所とが相違しますが、所有者である○○○○が、平成○○年ごろ和歌山市○○町○○番地に転居し、平成××年××月ごろ和歌山市××町××番地に転居し、…、平成□□年□□月□□日に和歌山市□□町□□番地(最後の住所)に転居しました。以上のことから、登記記録にある所有者は、私たちの被相続人に相違ないことを証明します。」

3.固定資産税評価証明書(ただし、被相続人の氏名と住所が記載されており、登記上の住所と一致しているもの)がない場合

 この場合、(1)「不在籍不在住証明書」、及び、(2)相続人全員からの被相続人が所有者に相違ない旨の「上申書(印鑑証明書付)」、の両方があればよいこととなっています。

 「不在籍不在住証明書 」とは、登記上の住所に被相続人と同じ氏名の人間が存在していないことの証明書です。登記上の住所地の役所取得できます。郵送申請もできます。

以 上

なかむら法律事務所・司法書士事務所(和歌山市)

弁護士・司法書士 中村和也